千年後も変わらない里山のある暮らし。持続可能な未来を考える

【料理家・minokamo の里山ごはんコラム】

里山と食のことを教えてくれた、祖母の家から。
minokamo秋ごはん「台湾風栗おこわ」

Posted: 2021.11.15

COLUMN

こちらは岐阜県七宗町神渕。築約120年の、祖母たちが暮らした家です。現在は料理スタジオとして、私が引き継いでいます。本日はこちらから、栗おこわのアレンジ料理や、祖母から学んだ食のことをお伝えします。

元養蚕業だった二階では、蚕を育てていました。

子供の頃は、夏休みや週末に祖父母に会い行き、いろんな経験をしました。一緒に作った味ごはんや、こんにゃく作り、もぎたての野菜が美味しかったこと。親戚一同で広い世代が集まり食べるご飯は、食器の片付けまで楽しかったこと!祖母が作ってくれた赤かぶ漬や朴葉寿司は、故郷を離れて岐阜の郷土食だったんだと知ったこと。そんな経験から、各地の食と文化に興味を持つようになり、料理家になりました。

岐阜生まれの秋の素材いろいろ。

秋には、山の麓で「山栗」を拾いました。拾いたての栗は、水々しくてつやつや。小粒ですが甘くて美味しいのです

右側が山栗。小粒で甘い。

松茸採りにもよくついて行きました。昔は軽トラックに山積みで運ぶほど、松茸が特産だった町。年々収穫量は少なくなりましたが、それでも少しは採れていました。

春には祖父と山にワラビを採りに行ったり、夏には川魚を手づかみで獲ったりと、里山を身近に感じながら過ごしていました。祖父は、農家と林業をしていたので、山はほぼ杉の木。日本各地で見られる里山の景色です。

家の前に広がる田んぼと山。

祖母は、山から集めた薪でお風呂を炊いたり、野菜くずは鶏にあげたり畑に投げたり、お茶碗は最後にお茶ですすいで引き出しにしまったり。自然の循環と仲良く暮らしていたんだなと思います。薪集めは、父が子供の頃の仕事だったと聞きました。

神渕茶葉。Y字の木は、むしろの上で蒸したお茶の葉をほぐしていた道具。

家の裏山の畑には樹齢100年以上の柿の木があります。

100年以上実り続けてくれている柿を収穫。

身近な材料で「台湾風栗おこわ」を作ります

先日、伊深ごはん研究会の皆さんから教えていただいた「栗おこわ」。今回は蒸さずに、炊飯器で炊き「台湾風栗おこわ」にアレンジしてみました。干し椎茸と干し海老の旨味がきいています。干し椎茸は岐阜県産、干しえびは、スーパーのお好み焼きコーナーにもあり、入手しやすい材料。詳しい作り方は最後にご紹介しますね。

ほかほかの、台湾風栗おこわ。栗の代わりに甘栗や、さつま芋でも。

まず、豚肉は調味液につけておきます。材料はその時あるものでアレンジしてもOK。

次に、栗は渋皮が少し残ってる程度に剥いて、おこわに風味を出します。これはお母さんたちに教わった美味しさのコツ。

最後に、材料をもち米の上にのせ、出来上がりを楽しみに炊きます!

おまけレシピ、里芋の皮の素揚げ

美濃加茂市近辺では、美味しい里芋も採れ、里芋入りおはぎなどの郷土料理もあります。よく余ってしまう「皮」をフライにすると、とっても美味しいのでご紹介します。

皮に片栗粉をまぶしてカリっと揚げ焼きして、仕上げに塩をふると美味しいスナックに!好みで山椒粉、胡椒をかけても。いつもはさようならしていた皮の美味しさに驚かれるかもしれません。里芋の皮、さようならする前に一度お試しくださいね。

里芋の皮に片栗粉をふります。

少しの油でも大丈夫、中火でカリッと仕上げましょう。

栗おこわの食卓

栗おこわを囲んで、秋の料理色々できました!四季を通して、旬のめぐみに感謝しながら、皆さんで美味しくいただきたいですね。

【秋のminokamoお品書き】
台湾風栗おこわ、椎茸とにぼしの醤油オイル、里芋皮チップと里芋マッシュ、地酒漬け栗の渋皮煮、すくな南瓜の蜂蜜がけ、すだちをかけた柿

minokamo秋の食卓。すくな南瓜など岐阜の野菜でいろいろ。

おこわは、ついつい手が伸びるおにぎりに。

「台湾風栗おこわ」のレシピ

【材料】(もち米2合分)
・栗(さつま芋、むき甘栗でも可)
・もち米 2合
・栗 10粒ほど(甘栗、さつま芋でも可)
・豚バラ肉ブロック 100g(豚バラスライス、鶏もも肉でも可)
・干し椎茸 2個
・干しえび 10g
・醤油 大さじ2
・みりん 大さじ1
・日本酒 大さじ1
・椎茸だし 調味料、肉漬け汁と合わせて360cc

【作り方】

①椎茸は水に入れて戻しておく。豚バラブロックは1cm角にカットし、醤油、みりんに10分ほどつけておく。栗は沸騰したお湯で10秒くらい茹でてから、鬼皮を剥いて渋皮も剥いて水に10分ほどつけたらザルにあげ2等分にする。干しえびは、軽く炒りなおす。

②炊飯器に餅米、肉をつけていた調味液、椎茸だし、日本酒を合わせて、餅米2合のメモリに合わせてだしを入れる(もしくは合計360cc)その上に全ての具材をのせて、炊けたら出来上がり

※炊飯器にもち米モードがないときは、20分ほど浸水してから炊きます。もち米はくずれやすいので、浸水しすぎに注意。

WRITER

minokamo(みのかも)

料理家、写真家、フードコーディネーター。岐阜県美濃加茂市出身。加茂郡七宗町神淵で祖母と料理したことが、料理家になったきっかけ。故郷の名を借り、地域の食を活かした提案、郷土食の取材や現代に作りやすい料理にアレンジも得意とし、執筆も手がける。日常の食を豊かにする器使いも各媒体で提案している。祖母が暮らしていた「神渕の家」を譲り受け、料理スタジオとしてイベント等も開催している。 連載/岐阜新聞「毎日ごはん」、PAPERSKYSKYサイトjapanese Local Cuisine 著書/「料理旅から、ただいま」(風土社)「ふるさと雑穀のっけごはん」(みらい出版)

文: 長尾明子(minokamo)、写真:黒元 雅史(STUDIO crossing)

Posted: 2021.11.15

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