【聞き書き 井上美恵子さん】
伊深の歴史と野菜の栽培~地域の文化と郷土料理の継承~

自己紹介
私は、井上美恵子と申します。昭和26年の2月生まれ、75歳になります。出身地は武儀町下之保(むぎちょうしものほ)(現在の関市)という所です。
家族は主人とそれから離れのほうに、三男夫婦と孫がひとり。長男は大阪のほうに行って、次男はすぐ近くに家を作っています。三男がうちの隣に家を作ってまして、そこに孫がひとり、4年生の女の子がいます。
おじいさんから教えてもらったこと
私はおじいさんとおばあさんと主人と弟がいる家に、嫁いできたんです。それからずーっと家にいまして。おじいさんやおばあさんに百姓を教えてもらっていました。おじいさんおばあさんが、病気で亡くなられるまでお世話して、それから、外へ仕事にいくようになりました。主人は、JA(農業協同組合)のサラリーマンで仕事に出ていました。
田んぼなんか入ったことなかったんです。実家にも田んぼはありましたけど、おじいさんもおばあさんもいて、両親もいましたから、手伝いに入ることはなかったです。百姓を教えてもらってだんだん慣れてきて、全部作れるようになったんです。
百姓を教えてもらっていた時、田んぼの中の「ひえ」がどれだか分からなかったんです。稲の中に「ひえ」って言う雑草みたいな草が生えて、いっぱいになっちゃうと稲ができなくなっちゃうもんですから取らなきゃいけないんです。おじいさんが80いくつでしたけど、手の両方に杖をついて、2日か3日かけて、ひえの取り方をとっても上手に教えてもらいましたよ。
20歳からの54年間ずーっと、百姓を続けていました。今も続けていますけどね。
季節ごとに育てている野菜
畑の仕事は、一度もやめたいとはならなかったですね。年取ったらやれなくなるからって思って、外へ仕事に行ってる頃も、畑だけは、朝早く起きたり、帰ってきたりしてから行っていました。野菜を作ることが好きなんです。今も大好きです。
作っている野菜は口に入れるもの全部です。大根、白菜、ネギ、サラダ菜、ほうれん草、青梗菜(チンゲンサイ)、小松菜、春菊、いろいろと作っています。
春から夏は、春野菜でキャベツとかレタスなんか作ります。5月になると、キュウリ、ナス、トマトなどの夏野菜を作って、だいたい9月からは秋野菜と冬野菜を作っています。秋野菜はね、8月に植えるキャベツと、ブロッコリーと4月に植えた里芋があって、春に植えて秋に採るんです。にんじんも8月と3月に種をまくんですけど、そうすると、だいたい1年中、にんじんが家にあるんです。
栽培しているブロッコリー
野菜を育てるコツと野菜の病気
コツはねぇ、とにかく毎日顔を見ることですね。病気が出てないか、虫がいないかって、毎日畑を覗きに行って、くるっと回って帰ってきます。雨があんまり降ると、ベト病って腐っていく病気になりますし。あまり暑いと、今度は照りすぎて焼けちゃうんです。お日様に負けちゃって、しおれたり、枯れそうになるもんで、お水をやらないといけない。やけどと一緒です。人間がやけどすると痛いでしょう。それと同じです。葉っぱでも、お日様の強いのにあたると、白くなって焼けちゃうんです。
そういうふうで、毎日顔を見ていきます。
野菜を食べにくる害虫や害獣たち
農薬はなるべく使いたくないんですけど、最近は1回か2回は農薬をまきます。種をまいたすぐの芽を虫が食べちゃうので。
昔は炭焼き窯で竹を焼いて、煙のような蒸気になって、竹炭液っていうのを取るようにしてあるんですね。それを薄めてやると、虫なんかに良かったんですけど、もう今はだめです。虫のほうが強くなったんです。だからどうしても農薬を1回か2回まきます。野菜の被害は、鳥にもやられますけど虫のほうが多いです。鳥は網をかければ防げます。
動物だと、このへんはイノシシが多いです。だから、畑の前に電気柵をつけて、電気を通しています。最近、動物が多くなって、タヌキにハクビシンにヌートリアに、キツネも見られるようになりました。ヌートリアに好かれると、カボチャもみんなかじっていくんです。1口、2口食べて、また、次のカボチャを1口、2口食べていくんです。だから、いくつもダメになっちゃいます。防虫網をかけるのに、一苦労です。
電気柵と、イノシシが畑を荒らした跡
みのかも健康の森
※みのかも健康の森が、平成7年(1995年)からオープンしたんです。森林組合がやっている山の中の公園ですね。その次の年から10年間くらい、そこの厨房で勤めていたんです。10年間くらい介護していた主人のおばあさんが93歳で亡くなった時に、ちょっとひまができたので来てもらえないかって誘われて、入ったんです。
平成10年か11年くらいに、そばを打つことを覚えてきてくれって言われて。一緒にまちづくりをやってる、昔からの知り合いの福田美津枝さんに、「そばを習ってこないといけないけど、だれか教えくださる人いないやろか」って言ったら、「あるよ、そこに行くといいよ」って言われて、郡上(ぐじょう)へ行って覚えてきました。それから、ずーっと、そば打ちをやっているんです。健康の森は売店と厨房があって、そこで手打ちのそばを打っていました。
※美濃加茂市北部の里山の中にある森林公園のこと。
中山道(なかせんどう)会館でのお店
ずっと健康の森で働いていましたけど、自分も疲れてきましたし、子どもたちも、進学やらなんやらの時期になってきて。健康の森を辞めて、昭和村っていう今の※ぎふ清流里山公園のボランティアをしてたんです。1週間に1回くらい。
あとは、家で農業をやっていました。けど、中山道会館ができて、その中に食堂ができたから、立ち上げをやってほしいって誘われたの。でも1人で毎日は行けなくて。だから仲間を誘って、14、15人で立ち上げた。交代で少なくても週に2日か3日くらいでシフトを組んで、勤めていたんです。勤めて10年たった時、ちょうど孫が生まれまして。お嫁さんが仕事に復帰しなきゃいけなくなって、じゃあ私がうちに入って子守しましょうって。それで仕事を辞めて孫とずーっといる。今もずーっといます。お夕飯は孫と2人で今も作ってます。ずっと毎日。お夕飯を一緒に作って、一緒にご飯を食べるようにしてます。
仕事をやめてから10年たちますけど、JAで年に2回くらいそば打ち教室があるもんですから、毎年教えに行っています。伊深まちづくり協議会で、年末に年越しそばを打とうっていってそば打ちもやってます。
※美濃加茂市山之上町にある、「里山」の自然や文化を体験できる公園。旧「日本昭和村」。
伊深ごはん研究会
伊深ごはん研究会は平成21年10月1日が立ち上げだから、もう16年です。結構経ったんですね。
私たちが毎日作っている料理を、若い方が教えてほしいってことで。私とか、福田美津枝さんとかが普通に作っていた料理が、皆さんにとって作ったことないって言われるもんですから、それなら一緒に作りましょう!って言って、今も続いているんです。
秋ですと、栗とか柿。これは、うちが昔っから秋になると作ってる、渋皮煮になるんです。5キロとか、10キロとかって、たくさん作るんですけど、毎年みんな、楽しみにして待っていてくれるんです。
郷土料理も作っています。秋だと、栗ご飯とか。けんちん汁もあります。それから…いろいろありますね。お正月になるとお餅をつきますでしょう?あんころ餅作ったり、鏡餅も家でついて作りますね。それもね、作ったことない人が多いんです。お餅はね、ついてね、そこからちぎって丸めて、鏡餅を作るんです。
行事があると全部、料理がついていくんです。年末の年越し、この辺りは、干したイワシを焼いて食べます。それから年越しのおかずっていうものがあるんです。年越しのおかずっていうのは、大根、にんじん、ごぼう、里芋、あとは糸昆布っていう細い昆布を入れます。年越しの夜に、神様とか農業の神様えびす様とかにお供えして、年をとらせてもらいますって言って食べるんです。
年越しそばは、うちは昼ごはんに食べます。夜はご飯とイワシと年越しのおかずを食べるんです。
元旦の朝は大豆の木、豆、樫(かし)の木の葉っぱをね、火をつけて、雑煮を炊いて煮るんです。その時に最初の火をつけてやるのは、当主です。主人がいつも最初に火をつけて、それで、次が私だったんですけど、お雑煮の中にこれから繫栄していくように、里芋を少し入れて、餅も入れて、餅菜っていう菜っ葉を入れて、お醤油の味の汁で煮て、雑煮を作って食べるんです。
元旦の朝は、お盆に干し柿とみかんと干し栗、糸昆布と、それから、田作りという小さい魚と。それと、黒豆もおいてあるんです。一緒に全部いただいて、おめでとうございますって。それからお雑煮を食べていたんです。
干し柿は毎年ずーっと作ってあるんです。出来がいいときは大きくなるし、悪いときは小っちゃいです。それを一欠片ずつ頂いて、お正月のお祝いをしてたんです。
ご飯の作り方を、こういうものがあるよって作っていると、食べてみたいな、やってみたいなって方がいるんです。味ご飯を炊いたり赤飯を蒸すってことも、今は家庭であんまりやらなくなったみたいで。赤飯の蒸し方を教えてあげたり、おはぎを作ったり、一緒に楽しみながら、覚えてもらってます。
伊深ごはん研究会がごはんを頼まれたときは、けんちん汁はずーっとつきます。夏は、夏のけんちん汁。中の具が違うだけで、ナスを使ったり、カボチャを使ったり、いっぱい具の入った汁を作ります。大根、にんじん、ごぼう、里芋、春と冬は同じようですね。夏のあんまり暑いときは作らないかなあ。
インゲンがあるときはインゲン豆を足したり、畑を見て、あるものを使って作ってます。私が、一番たくさんの種類の野菜を作っているみたいで、野菜はあんまり買ったことがないです。今でも、大根、白菜、青梗菜、ほうれん草、かつおいらず、キャベツ、ブロッコリー、にんじん、ごぼう、里芋、秋じゃが、ネギ。そうですね、11、12種類はいつも作っています。いつも何かの野菜があります。なくなると、次の野菜をまいて作っています。自給自足ができてます。
3か所畑があって、息子の所の畑が一番日当たりが良くて、自分の所はその次なんです。ここは水路が通っていて、水をすぐつけれるもんですから、水の出入りが良くって。もう1か所は新しいおうちができて日陰になるんです。それもいいんです。夏なんか、あんまり暑くてだめな野菜は、そこに作るといいんです。でも、冬はだめです。あんまり育たないですね。
ここの用水路が通る畑はね、ほうれん草、青梗菜、小松菜、里芋、いろいろ育ってます。里芋の隣が、今は、イチゴの苗をやっているところです。イチゴが終わって、インゲン豆があって、ネギがあって、いろんな野菜の苗が今、作ってあります。
畑で栽培している青梗菜
漬物と朴葉(ほうば)を使った食べ物
私は漬物を作ることが好きだから、日当たりの良い畑は大根と白菜をたくさん作ってあります。白カブと赤カブもいっぱい作ってあります。
赤カブはね、全部漬物にします。皆さん赤カブの漬物が好きでね。ごはん研究会に持っていくと喜んで食べてくださるんです。
それと、陰になる畑は今年は小豆をまいたんです。そしたら、よーくできて、あんこ作ったり、赤飯の小豆にしたり…。
初夏に「朴葉もち」って言って、裏に朴葉の木が生えているので、米の粉で皮を作って、中にあんこを入れて、朴葉の葉っぱに巻いて、蒸すんです。
朴葉もちは田植えの頃、5、6月の梅雨くらいの初夏に作るんです。1日ずっと田植えをやって、お昼ご飯を食べて、また夕方までに途中でお腹すいちゃうでしょ?そのおやつ用に夜作っておいて、田んぼに持っていって食べるんです。
ちなみに米は主人がやってます。2つはとても無理だから、分けてやりましょうって、主人が田んぼをやって、畑は私がやってます。
裏山にある朴葉の木
エンネパン
この辺にね、ドイツからエンネさんという方が戦中に疎開して見えたんです。ご主人が大学教授だったものですから、エンネさんも先生で大学行ってみえたんですけど、土曜日、日曜日になると、寺小屋みたいになったんです。来る子どもたちに、おやつにパウンドケーキみたいなドイツのパンを焼いて、皆さんにくれたんです。エンネさんが作られたから、エンネパンというんですよ。
この辺でも、エンネさんに教えていただいて、焼くようになったんです。私はちょうどお嫁に行くときにオーブンを持ってきたものですからオーブンで焼いたけど、エンネさんはドイツから持ってみえた、薄い鍋のような、パンを焼く鍋があって、それで焼いてみえましたよ。
ドイツから持ってみえた、本当に良い鍋があったんです。それを借りて、中山道会館で焼いて出しましょうって話になったんです。エンネさんの娘の綾目(あやめ)さんに許可をとって、中山道会館でもエンネパンにコーヒーをつけて出していたんです。
けっこう評判が良くて。今、「※いぶカフェ」っていう伊深に喫茶店ができましたでしょう。そこでも出したいから、1回教えてって言われたもんで、私で良かったらって教えたので、いぶカフェでも出るようになりました。洋酒じゃなくて梅酒も入れて、風味づけしてるんです。梅酒は梅で作ったお酒です。焼酎で梅を漬けて作る、梅酒が少し入っているんです。洋菓子だと、ブランデーとかラム酒とかを入れるでしょ。日本なのでってことで梅酒を入れてみえたんです。
※美濃加茂市伊深町にあるカフェ。国の有形文化財「旧伊深村役場庁舎」を改修して、令和3年4月1日にオープンした。
エンネパン
甘いおやつの作り方
渋皮煮は渋のまま煮るんですけど、3日ぐらいかかるんです。上の皮だけ剝いだら、ミョウバンを入れて一晩置いておくんです。次の朝また1回煮て、またミョウバンを入れて一晩置いておくんです。その次の日に煮こぼして、煮て沸騰したら捨ててを5回やって、それから砂糖を溶かした甘いお汁の中に入れて、5時間ぐらいコトコトコトコト煮るんです。だから3日がかりなんです。
栗の甘露煮の蜜はお水に砂糖を溶かすだけ。砂糖を溶かして、シロップみたいに作って、その中に栗が出ないくらいに入れるんです。5時間くらい。すごい手間がかかっています。昔はね、10キロくらい作ってたんですけど、今は5キロが精一杯。今年も5キロ作る。大きな栗がなるもんですから、ちょうどよくて。やっぱり大きい栗で作った方が食べがいがあるし、美味しいんですよ。
畑でサツマイモが採れるんです。サツマイモの干し芋を作ったりしています。6月に植えて10月に収穫で芋掘りするんです。来週から寒くなるでしょう。寒くなると、芋を干しにかかるのです。そうすると、カビや菌が生えないんです。あったかいうちは、カビが生えちゃうのです。カビが生えちゃうと、食べれなくなっちゃうので。冬は、空気が乾燥してるので、菌が育ちにくいです。これからずっと私、12月の中ぐらいまで毎日干し芋づくりです。干し芋は芋を蒸し器で蒸します。60分以上蒸して、蜜が出るまで。それが熱いうちに軍手をはめて、芋をもって皮をむいて冷めるまで置いておいて。朝になると芋が冷めて固まってるもんですから、それを切って干すんです。
これはね、紅はるかって種類です。あれはね、かぼちゃ芋です。中がオレンジなんですよ。だから、干すときれいな黄色い干し芋ができる。さっきの紅はるかは、黄色っぽい干し芋なんです。そんなに鮮やかな黄色じゃない。
今は小豆が干してあるんですけど、干す専門の網があるんです。網を敷いてその上にずーっと並べて4日から5日ぐらい干します。あんまり置きすぎると硬くなるので、4日から5日ぐらい干すと大体いいもんですから、それくらいまで毎日干すんです。たくさん作っておいて、全部真空パックにして冷凍していくんです。
作るものがなくなると編み物をやっています。昔から編むことが好きです。機械は使わないです。かぎ針とか棒針とかで編んでいます。どこでも手で持っていけるので。着るものとか、座布団のカバーとかを作ったり、自分のものが多いです。あとは、孫のマフラーとか帽子とか。
畑で採れたサツマイモ
昔からある干し柿の木
昔から、それこそ主人も知らないっていうぐらい昔からある木だそうです。70年、80年、もっと前からある木みたいです。それが毎年柿がなるんです。すごいですよ。ほんとに毎年ちゃんと実って。
でも、実ったままにしておくと、猿とかいろんな動物が来ますから。うち、栗も、柿の木もあるでしょう。だから、ちゃんと手入れしないといけないね。梅の木と柚子の木だけは、何も動物来ないですよ。柚子の木はトゲがいっぱいあって痛いもんですから。梅は酸っぱいから。動物は美味しいものしか食べないんです。
梅は塩漬けにします。発酵させるんじゃなくて、ただ塩で漬けるだけです。塩漬け用のかめがあるんです。今、メダカが入っているのと同じもので、その中に梅を入れて、塩を入れて、重石をしておいて置くと水が出てくるんです。水分が出てきたら、そのまま漬けといて、あと、畑から紫蘇(しそ)っていう葉っぱを取ってきて、揉んで入れると赤い色の梅干しになるんです。それで赤い梅の汁ができるもんですから、生姜を漬けて、紅生姜にします。
みそと豆
日が当たらない畑で豆がよくできてたんです。豆をね、8キロぐらい蒸して味噌を作ってたんですけど、2月に仕込むと次の年の12月ぐらいにしか食べれないんです。非常に手間がかかる。8キロの豆で味噌が30キロ近くできる。豆を煮てその中に米で作った米麹っていう麹を入れて、発酵させる。発酵させるもとですね。味噌も自分で漬けます。
今は小豆を作っています。3年前までは豆もできていましたが、猛暑になったので、豆の木が育ちません。花が咲いて鞘(さや)がなるのですが、実が膨らまない。暑さに負けてしまって、全然膨らまないのです。3年くらいダメだった。だからもう今年から豆はやめました。豆はやめて小豆だけにしています。小豆は何とか取れるもんですから。
小屋で発酵されている味噌
農具と庭
これは草かき、これは鍬(くわ)ですね。みんな鍬って言ってますけど、私は三角ホーって言ってます。これは備中(びっちゅう)(鍬)って言います。この3つがあるとだいたい仕事ができるんです。
(左から)備中、鍬、草かきを持つ井上さん
これは干し網です。干し網に青い網をのせて芋を干すんです。網だと上からと下からと空気が通るので早く芋が乾くんです。
イチゴにごぼう、青梗菜にほうれん草、春菊、カリフラワー、向こうがキャベツ。あれはね、玉ねぎの苗なんです。もうちょっと大きくなってから植えるんです。まだ小っちゃいんです。これは里芋。またもう1回ほうれん草をまこうと思います。これは小っちゃいキャベツ。4月、5月になると食べられるキャベツです。小松菜と青梗菜とほうれん草は水の通りが良い畑に作っています。用水がすぐそこに通っているんです。だから水がやりたいと思うとここはすぐやれる。里芋も水がいっぱい欲しいですから。ゴボウもいっぱい水が欲しい。これで、1、2、3、4…13種類くらい。
大根はもう1つの畑で作っています。次から次、野菜を空かせないように作ってくんです。作ると、今度休んで栄養を補給して、また野菜を植える。
今は、休ませている。春になるとまた作るんですけど、半年くらい休ませます。その間に堆肥を入れたり、灰を入れたりして土作りをするんです。長いペースでゆっくりと。
この畑はもうお嫁に来た20歳の頃からずっとあります。50年くらいずーっと、作り続けているんですよ。
干し網で干されている小豆
これはイチジクです。いろんな種類のイチジクがあってね、紫だけじゃなくて、白いイチジクがあるんですよ。このイチジクはもうちょっとしたら食べれるかな?でも下にあるでしょう。ハクビシンが来て、食べて行っちゃうんです。だから、人間は上の方しか食べられないんです。
12月の冬至の時に食べるカボチャがなる。ここは日当たりがいいもんで、植えたら結構たくさんできました。
これは普通に食べる冬柿。これはね、キウイ。キウイもうちは食べていないけど、甘くなるのを動物は食べて行っちゃう。これは昔からの井戸です。一応、これが石垣。水がね、すぐ湧いてくる。あと、これは主人が毎年きれいにしてる昔からのお墓なんです。ここは、お祭りするだけの「引き墓」っていう墓です。
昔からの井戸
朴葉の木
これは朴葉の木です。大きな葉っぱになるんですよ。だからお寿司を作ったり、お餅を巻いたりできる。朴葉餅やら朴葉寿司を作るんです。皆さん「ちょうだい」って言って、葉っぱを取りに来ます。色でどれを取るとかは決まってないです。なるべく大きい葉っぱを取ってってするだけです。大きいのはみんな取っちゃったから、今はもう小っちゃい葉しか残ってないんです。朴葉は真っ青で、夏はきれいですよ。
花とメダカ
ここの中でね、草なんかを燃やすんです。燃やして、灰にして畑にまくんです。息子と主人と庭木の剪定(せんてい)をして、それを干して灰にするんです。
草木灰を取る焼き窯
ここは盆栽ですね。春になると牡丹っていうきれいな花が咲きます。ピンクと、それから赤と…それから牡丹色っていう色ですけど、ほとんどピンクが多いです。
メダカです。私の同級生のおじいちゃんがメダカの卵と子どもをやるって言って、百匹くらいくれたんです。そのおじいちゃんは20年近く前に亡くなられて。メダカを育てることが好きでいらっしゃったもんで、これは育てなきゃと思って延々と続いてるんです。買ってきたメダカ用のえさを毎日やってます。でもね、可愛いですよ。こうして覗くと餌がもらえると思ってみんな上に上がってくる。メダカは一番手間がかからないでしょ。だから、ずーっといます。
これも花で、春になると、クンシランって赤い花が咲くんですけど、今は5度以下の温度に当てないと、次の年花のつぼみがつかないんです。今日、明日ぐらいだと、5度以下になるので、中が閉まるんです。3度くらいになると、今度は冷害でやられちゃう。繊細なんです。
メダカが入っているかめ
PROFILE
井上 美恵子(いのうえ みえこ)さん
岐阜県武儀町(現在の関市)に生まれる。20歳の時にお見合いでの結婚を経て、伊深に嫁ぐ。結婚後は百姓をしながら祖父母のお世話をし、二人の指導を受けながら料理や田畑の作業を学ぶ。祖父母の逝去後、平成8年から健康の森でみたらし団子やそばなどの料理の腕をさらに磨く。その後、数年のブランクを経て中山道会館のお店で10年間勤める。現在も田んぼや畑で野菜を育てており、野菜に関しては自給自足ができている。
取材日:令和7年12月15日、令和8年3月16日
